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一度それを経験してからというもの、その夢を見る度に女の自慰をするようになった。
もはや男の自慰など取るに足らない。
女のそれと比べれば、快楽の一縷すらも受けられないのだ。
本当に気持ち良かったのかさえ、今となっては疑問に他ならない。
だから自慰は、夢の中でしかしなくなった。
より良いものを覚えてしまったのだから、当然の成り行きだろう。
自然に溜まっていく性欲を夢で発散する。
本能、あるいは惰性でしか行っていなかった性処理をこうして晴らすことができるようになり、不思議と満足感を得た。
毎日が淫夢のようで、一時期に猿になってしまったのではないかと危惧することもあった。
またはとんだ阿婆擦れに憑いたのではないかとも。
しかしそれは短い周期で定期的に溜まっていくものであり、そういった性欲処理は当たり前のことだと保健の授業で聞いたことがある。
人に相談できるようなことではないので確かではないが、体に不調もないので、あまり気にしないようにした。
また、ただ阿呆のように自慰行為ばかり夢の中で繰り返し、次第に現実の異性に興味が薄れていくような錯覚もあった。
しかし夢の中で行うことによって毎朝満たされているのだから、性欲は減って当然のこと。
興味が薄れているように感じるのはそういった生理的なことのせいなんだと、今は理解している。
だから今に至るまでこうした夢の中で自慰行為を繰り返し、支障のない生活を送っている。
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