君と、再会した

4/11
前へ
/11ページ
次へ
しばらくして、2限の教室に二人で入ると、ナツは既に一番前の席に座っていた。 ナツこと、佐伯奈津江は、亮介の古くからの友人だ。 だが、亮介の恋愛事情は全く知らず、亮介は未だに童貞扱いだ。 そんな事はないのだが。 「あら、今日は遅刻じゃないのね。珍しい」 たっぷりと皮肉をこめて、ナツは亮介に言った。 「あのね、オレ大学入って一度でも遅刻した?」 「高校は?」 「したっけ?」 「どの口が言ってんのよ。1人だけ、二週間ゴールデンウイークだった。…それでさ、今日暇?」 「暇だけど…」 なんで?と顔に出しながら、亮介は言った。 さっきから、拓海の背骨の形が気になる。 ピンと張っている。 「ご飯、食べようよ。拓海くんも一緒に」 拓海は、これ以上ないくらい背骨が張った。 そしてぎこちなく「バイトが…」と呟いた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加