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しばらくして、2限の教室に二人で入ると、ナツは既に一番前の席に座っていた。
ナツこと、佐伯奈津江は、亮介の古くからの友人だ。
だが、亮介の恋愛事情は全く知らず、亮介は未だに童貞扱いだ。
そんな事はないのだが。
「あら、今日は遅刻じゃないのね。珍しい」
たっぷりと皮肉をこめて、ナツは亮介に言った。
「あのね、オレ大学入って一度でも遅刻した?」
「高校は?」
「したっけ?」
「どの口が言ってんのよ。1人だけ、二週間ゴールデンウイークだった。…それでさ、今日暇?」
「暇だけど…」
なんで?と顔に出しながら、亮介は言った。
さっきから、拓海の背骨の形が気になる。
ピンと張っている。
「ご飯、食べようよ。拓海くんも一緒に」
拓海は、これ以上ないくらい背骨が張った。
そしてぎこちなく「バイトが…」と呟いた。
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