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結局、拓海はバイトに行く気配は見せず、最初から亮介とナツについて来た。
なんだか惨めで、亮介は何も言わなかった。
しかし、ナツが「拓海くん、バイトは?」と聞いた時、拓海は「休みが…なんだか…」と慌てて言っていた。
「で…メシってここ?」
二時間で1980円のバイキング。
人が賑わい、小さな子供もたくさんいた。
「ダメ?」
「いや…でも、こういう時って居酒屋とかさ」
「未成年。それに、こういう時って、どういう時?」
言われてみれば、困ってしまう。
大学生の食事は居酒屋な気がする、なんて死んでも言えない。
「まあ…な。なんかメシ、取ってくる」
言い残し、亮介が席を外す途中で、拓海の顔がみるちる明るくなっていた。
戻ってくるのが、少しだけ気まずくなった。
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