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やけにサラダを多く持って帰って来た亮介に、ナツは聞いた。
「ねえ…最後まで言ったの?いつも肉ばっかり取ってくるのに」
「指輪…」
「え?」
「…指輪。結婚。式。初夜。子供……」
ダメだ。気が狂いそうだ。
「どうしたんだよ」
拓海も笑いながら問う。
誰の言葉も鼓膜にまで届かない。
でも、どこかで亮介はひそかに期待していた。
もしかしたら、ただのお洒落かもしれない。
もしかしたら、見間違いかもしれない。
「なぁ、どうしたんだよ、亮介」
「…初恋だよ」
「はあ?」
ナツも言う。
「初恋の女がいたんだ」
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