金魚が地面を泳いだ日

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一番最初は、蟻だった。 その次はダンゴムシ。 その次はバッタ。 カエル。ハムスター。猫。 鳥で、犬。 血やその他体液で錆び付いてしまったカッターを地面に勢いよく突き刺した。 何度も。何度も。 茶色の土が、緑の葉っぱが、青い象さんのジョウロが、全て赤色に染まる。 立ち上がって象さんの所へ向かう途中、ふと自分の靴を見れば金魚。 足元から顔を上げて周りを見回せば、其処ら中に金魚がいる。 空の青色。太陽の光はオレンジで眩しい。 そこで、僕は気付いた。 「そっか、此処は水槽の中なんだ」 だから、金魚がいるのだ。
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