金魚が地面を泳いだ日

3/5
前へ
/134ページ
次へ
バケツの水に金魚がプカプカ浮かんでいる。 水の中に手を突っ込んでぐるぐると掻き回すと、その中の金魚はいなくなってしまった。 水が、少し赤くなった気がする。 「つまんない。金魚いなくなった……ねぇ、どうしよっか?」 クルッと後ろを振り返ると太陽の光が反射して、カッターがギラリと光った。 その下には大きな金魚が横たわっている。 「寝てるの?返事してよ、まーくん」 「………」 無視されたのがムカついたからバケツを思いっきり蹴りつけた。 バシャッと中の水が零れてバケツが歪に窪んだ。 「ねぇねぇ、まーくん?まーくん!まーひーろー!」 何度その体を揺すっても、蹴っても、叩いても、眠る真尋は起きてはくれなかった。 なので、別の人で暇潰しをしようと思うのです。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加