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バケツの水に金魚がプカプカ浮かんでいる。
水の中に手を突っ込んでぐるぐると掻き回すと、その中の金魚はいなくなってしまった。
水が、少し赤くなった気がする。
「つまんない。金魚いなくなった……ねぇ、どうしよっか?」
クルッと後ろを振り返ると太陽の光が反射して、カッターがギラリと光った。
その下には大きな金魚が横たわっている。
「寝てるの?返事してよ、まーくん」
「………」
無視されたのがムカついたからバケツを思いっきり蹴りつけた。
バシャッと中の水が零れてバケツが歪に窪んだ。
「ねぇねぇ、まーくん?まーくん!まーひーろー!」
何度その体を揺すっても、蹴っても、叩いても、眠る真尋は起きてはくれなかった。
なので、別の人で暇潰しをしようと思うのです。
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