1章 応援団

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 ホームルーム終了後の教室。あたしがすっかりナーバスになっていると、後ろから肩をとん、と叩かれた。 「誰じゃぁっ!」  さっきの一件ですっかり落ち込んでテンションが変になっていたあたしが勢いよく振り返ると、仁王立ちしながら腕を組んでいる影が視界に入った。影の主がナギだったことに安堵の息を漏らしつつ、あたしはナギに泣きつく。 「さっきのナギじゃったん? ごめんごめん……っていうか今のあたし、めっちゃイタいよね。高校三年間、あたしは天然キャラで行けと? んあー、絶対無理だぁー!! 嗚呼、私の青春はいずこへ……」 「そう落ち込まんでも良いって。気にすんな、気にすんな。真奈がイタい子じゃったら、自分で立候補したあたしは何になんのよ」  かっかっか……と、酔っ払いのオヤジみたいに笑うナギ。ほんとナギは不思議人間だ。って、急に叫びだすあたしが言えないか。  その後は、話したことも無かったクラスメートたちに、「千倉さん、大丈夫? うち病院だから、良かったらこんど診てもらえる様に言っとくよ?」だったり「千倉、じゃったっけ? おまえ、面白ぇな。なんか一発ギャグやって」などと散々からかわれる羽目になった。念のため言っておくけど、あたしは持病がある訳でもないし、何か持ちネタがある訳でもない。というより、そもそもお笑いに興味が向かない。  きっぱり断るのも悪いので、適当に流してやった。
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