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いつまで叩いたか。
私は疲れて腕も上がらなくなった。
ここには居たくない。
部屋を出ようとした私は何かにつまずいてあっけなく倒れた。
自分で壊したお世話ロボットの上に。
気が付くと、私は白い部屋に寝かされていた。
目を開けると、ガラスの向こうにママ達がいるのが見えた。
ママ、私はここにいるよ。
そう言おうとしたのに、口にかぶさるマスクがジャマで声が出なかった。
抱きしめて。
手を広げようとしたけど体が動かなかった。
ママとパパがガラスの向こうで心配そうに私を見ていた。
それから何があったのか、覚えていない。
思い出せない。
私は冷たい石の下、冷たい地面の中に埋められた。
私は死んだのだ。
頭を打ち付けた場所が悪かったらしい。
もう、触れられない。触れてもらえない。
触れてもらう体がない。
私がここに入って何年経ったか、私の下へお母さんが来てくれた。
同じ石の下。同じ土の中に。
生まれる前と同じようにママに包まれて私は眠った。
やっと抱きしめてもらえた。
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