プロローグ

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「剣を抜け!こっちは貴様が戦わなくても殺さなければならないのだ!  貴様も剣士ならば剣を握って死ね!」 こちとら万年三等兵。勝てる見込みほぼ0。ならば剣なんて握ってられない。 こんなときはとんずらに限る! 身を屈め後方へと走る。逃げ足ならば負ける気がしないのだ。 どんどん遠ざかる足音に向かい高らかに笑ってみせ終いには、 「次あったらぶっ殺してやるからなぁ~!」 と叫ぶのであった。 怒号が聞こえたがもう追い付かれまい。再び前を見たらそこには絶壁があった。 絶壁の崖が。 いやな汗が頬を湿らす。 今日は本当についていない。仲間達の方へ逃げたつもりだったのに。 すぐにお兄さん達が来て、笑う。 「さっきの主の言葉  殺してやるからなぁ!?…とな?  受けてたとうではないか…」 ゆっくりと、凄みのある声に膝が笑う。 「武者震いだ、俺に構うな…行け!」 キリッと決めたが相手は剣を引き抜き振り上げる。 「逝くのはお前だよぉ!」 ああ、我が人生に悔いあり。
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