いち

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あぁ!寒いっ! 寒い寒いさぁっむ~い! 苛立ちながら歩く足を早める。 足音は立てない。気配を消すのは得意だ。 更には雨のおかげで気配なんて感じられるハズがない。 周りを見渡すと戦う者ばかり。 雑魚なんて一々相手しないで頭から潰せば良いのに。 深いため息を外に逃がす。 自然と足はまた早くなる。 行く宛なんて決めていない。 しかし自分の五感がこっちだと告げている。 早く早く早く。 いつの間にか走ってしまっていた。 無音で走るのはまるで鳥の様。 「…崖?」 崖に当たってしまった。 五感は外れなのだろうか…。 しかしその思いはすぐに消える。 下を見ると小さく人だかりが見えた。 「やっぱり」 ビンゴ!って感じかな。 口端をつり上げながら、崖から飛び降りる。 そう、まるで鳥。
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