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その人は私がこれまでに見て、知り合ってきた人達とは全く違った。
まず先生に対して全く恐れを感じていなかった。
仮にも小学生だ。
男の子と言っても大人から怒鳴られたら誰だって少なからず恐怖するはずだ。
でもその人は真っ直ぐ先生の目を見て話を聞いていた。
すると段々先生が困ったような顔をしだした。
小学生くらいの子を説教するときは自分に恐怖させるのが一番手っ取り早い方法だ。
だから全くと言ってもいいほどに自分に恐怖しない生徒に、どう対処すればいいのかわからなくなってきたんだろう。
するとその子は先生の目をじっと見ながら一言。
『僕は何も悪いことはしてないよ? これは忠告を聞かないこの子が悪いんだ。だから僕は悪くない』
そう言って右手に持ったままだっとあの音の原因であろう血のついたパイプ椅子を地面に捨てた。
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