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「だから。剣くんはただの友達だって」
「でも泊めてあげたんだからね」
私は母の態度に少し苛立った。
「だから探し物を手伝ってもらって遅くなったから仕方なかったんだよ」
「本当は泊めたかったんじゃないの」
「仕方なく泊めてあげたんだって」
「朝ごはんの時も変だったよね」
「何が」
「いつもだったら手伝ってくれなかったじゃない。でも今日は手伝ってくれたじゃないの。剣くんに自分が作った物を食べて欲しかったんじゃない」 「違うよ、気が向いたからやったんだよ」
「剣くんのこと好きなんでしょ」
「良い人だけど、好きって程じゃないよ」
「じゃあ剣くんは”明奈の特別な友達”なんだね」
母は私のことを見透かしているような態度で、微笑している。こんなにも母が私の恋愛に興味を持つなんて思わなかった。実際私は剣くんに惚れている訳じゃない。でもただなんとなく良い人だと思うだけだ。知り会ってからそんなに経っていないないので、剣くんのことは余り知らないから本当は少し怖い。だんだん日々を重ねる度に剣くんを知ることが出来ると思うけど、多分剣くんとの距離は変わらないで良いと思う。
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