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その後教室に入った。しばらく座っていると、ある事に気づいた。筆箱を忘れた。あたふたと困り果てていると意外な人が助けてくれた。
「シャーペン一本なら貸してやる」
「ありがとう」
この人の名前は川島 勇樹(カワシマユウキ)。少し乱暴な言動であるがとても情に厚く優しい生徒。でも川島にも弱点がある。それは俺以上に女子に弱いことだ。女子に褒めて貰うことがあると、すぐ顔が赤くなってしまう。手に触れただけで鼻血が出てしまう。俺も女子に少し弱いがここまでになると同情してしまう。それに今は夏服なので川島にとって地獄であろう。なぜなら高校の夏服は薄いので、目をこらさなくても背中から下着が見えてしまうのだ。先週また鼻血が出てしまった。川島は喧嘩が凄く強いと言われている。中学の時、百人一度に相手したと聞いている。だから川島に逆らう奴はいないだろう。何故だか知らないがテストの点はとても良く、推薦でこの高校に入ったと言われている。
今日の授業が終わったので川島にシャーペンを返しに行った。
「ありがとな」
「大したことじゃない」
そう言って俺から顔を背け人差し指で自分の額辺りを掻く。彼なりに照れているのだろう。
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