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「悲しい時ほど、空が青いものなのね。」
ああ、誰が言ったんだろうか?
それは里衣子の母親が以前言った言葉だった。
両親の葬儀の日、初めて祖父母という存在と対面した。
もともと駆け落ち結婚だった里衣子の両親は、親戚との付き合いを一切断っていた。
けれど―。
まだ小学生の里衣子が何かを出来るわけもなく、警察が親戚を探し出し、連絡した。
『…良かったわね、兄弟はいないみたい。一人だけなら、なんとか―。』
『ええ?施設でいいんじゃないの?』
『生命保険は―。』
汚い話ばかり耳に入ってくる。
ああ、誰も悲しんでくれないんだ―。
分かりきっていた事だが、里衣子は胸が苦しくなった。
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