果ての小さな話

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  「この世界を小さなパズルに分解して、その個々の要素にどれだけの必要性を秘めることになると思う?」   訳の分からないことを、と彼女は鼻でけなし笑う。 それも無理はない。 僕は彼女の事を何一つ知らない。 知っているのは、華やかとも言えない極非凡なその外見。 彼女からしてみれば僕という存在は不審者、と定義されているだろう。   まぁ、それも当たり前だ。 彼女はただ此処を通りすがっただけだから。   僕の事を彼女は何一つ知らない。     「何も無くなるのかな。一部が大切で、他は要らなくなるのかな。」   「なんでよ、パズルなら全てが無いとその形状が無し得ないじゃない。全てに意味があるのよ。」     少しだけ躍起になって噛み付いてきた彼女。 僕は愚かしくてただ笑う。   だって、その先の答えなど誰も知らない。   パズルが必ずしも全てのパーツが必要である筈も無い。   欠けたものが美しいと言う人もいれば、満たされた世界が美しいと言う人もいる。   彼女と僕のように。   だが、       「満たされたら、君達は―――じゃないか」     彼女のはかなくも脆いその幻想を打ちのめすと、彼女はクスクスと笑い続ける僕を、睨みつけて去っていった。       人は真実を突き付けられるといつも怒り反発するが、結局最期には真実を認めうるしかないのだ。     「そろそろ次へいこうか…獅子王。」       返事は、無い。
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