2.冬

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寒い冬には、やっぱり恋人たちがいろんな所でいちゃついている。 「うらやましい!見たくない景色だわ!」友達の明子が大きい声で言う。 「明ちゃんは男の人と付き合った事あるんでしょう?私なんか一回もないのに…。」ションボリと私は、言った。 私、高梨マリアはイギリス人の母と日本人の父から生まれたハーフの女の子。たいして美人でもない普通の女の子だ。 お嬢様学校と呼ばれてる高崎学園に通ってる。頭のいい子に育つようにとこんな地獄のような学園に通ってる。 「まぁね…。マリアだってカワイイんだから彼氏くらいそのうちできるよ!」明ちゃんは、私を励ましてくれた。 「明ちゃん…。明ちゃんがいればいいかも!」私の発した一言に明ちゃんは感激したらしく抱き着いてきた。「私もだよ~っ!でも彼氏くらい、作ろうね?」頭をポンと叩く。 「だよね~っ!」明ちゃんと居ると楽しくて明ちゃんは私にとって一番の友達だった。 “ポンポン” 「高梨マリアさんね。」誰かが肩を軽く叩く。聞いた事のある声だった。恐る恐る後ろを振り向く。 『やばい!』 高崎学園の先生だった。明ちゃんは、私の手を引っ張って走り出した。明ちゃんは、ある本屋の前で止まり、私に言った。「あんたは、ここに隠れてなよ。あたしがあの先生を追い払うまでさ。」明ちゃんはピースした。 「ダメだよ!明ちゃんが怒られるよ!」 私は、言った。 「何言ってるの。親にばれたら怒られるんでしょう?外出禁止になったらどうするの?」こう言われると何も言えなくなる。本当の事だし。 「ありがとう…。ごめんね。」私は、悔しかった。親が厳しいから時々、友達が私の身代わりになってくれる。それがいつも嫌だった。 「大丈夫だよ!遊べなくなる方が嫌だし親は全然だし!んじゃ、ちゃんと待っててよ!」 「うん。」 私は、大人しく本屋に入って行った。
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