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「大丈夫せつなちゃん?」
学校帰りのある日、ずっと気分の悪かった私を仲のいい友達が心配して送ってくれていた。
「うっ…ハァ…ハァ…っ」
私の方は身体の奥に熱い何かドロドロしたものが暴れているようで、息苦しく、激しい動悸で動けなくなってしまった。
そしてついには倒れこんでしまったのだ。
「え…あ…せつなちゃん💦」
友達は私同様に幼く、周りには民家もなくただ私の側でオロオロするばかりだったようだ。
背中の内側に、何かを感じた。それは閉じ込められ飛び出そうと暴れる荒々しい何かを。
「っ…うあぁ…!?」
苦しむ私の意志とは関係なくメリメリと皮膚を突き破り「何か」は飛び出した。
これまでの苦しみが無くなり、私は快感のような解放感に震えていた。
背中から血まみれの翼を生やし恍惚の表情を浮かべた私は、突如現れた化け物に見えさぞ恐ろしかったであろう。
「え…や…うわぁぁ~!!」
私の友達だった女の子は怯え、震えそして悲鳴をあげて逃げていった。
「え…待っ…」
ひとり私を残して…
あの時の女の子の表情は、多分一生忘れないだろう。
私は人ですらない…まして化け物ですらない。
私の居場所は、この広い世界のどこにあるのだろうか…。
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