一章 -追憶の日々-

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「……三回ピンポイントで脳天殴られた……しかも作業用の篭手嵌めたままで。 やべぇ、軽く死ねるわ。これ」 ストーマは五分程床で悶えていたが、いつまでもこうしていると下に降りた時に四発目が来ると分かっていたので素早く服を着替えた。 「そういえば、あいつって何者なんだろう」 ストーマが路地裏で見つけた時にはその少年は独りきりで泣いており、不審に思ったストーマが近付くと気配を察知したかのように泣きやんで視線を向けてきたのだった。 だがその目にはあまり力が無く、俺と一緒に来るか、と尋ねるとすぐに首を縦に振った。 余程泣き疲れていたのだろう。 「年はまだ若いだろうに、目だけはやけに落ち着いてたしな。まぁ、聞いてみっか」 そうして階下の賑わいへと降りていった。
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