一章 -追憶の日々-

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「飯の用意手伝ってくれるか? エリオン」 「はい、何をすれば?」 「飯は俺が作ってっから、お前は食器並べといてくれ。入り口の右手に食器棚あるだろ」 そう声を掛けてストーマは食事の用意を始める。 強くなってきた朝の光が射し込み、少し眩しく感じる台所に立ってキャベツを手早く小さく切り、肉を加えていく。塩を振り掛けて炒めた後、それをそのまま卵でとじた。 「うん、こんなもんかな。エリオン、パンも追加で並べてくれ。そろそろ親方が来るから手早くいくぞ」 「はい。あっ、ストーマさんて意外と料理出来るんですね」 「意外とはなんだ、意外とは。男二人で住んでっからな、どっちかが飯を作らないといけないんだよ まぁうちはこれみたいな簡単なモンばっかだけどな。嫌か?」 「いえ、食べさせてもらえるだけで有り難いです。それに、これも十分美味しそうですよ」 「嬉しい事言ってくれるな、お前は。さ、出来たぞ」 「ストーマ!飯は出来てるか?」 絶妙なタイミングで親方が入ってきた。 「あぁ、もう出来てるよ。腹減ったし、早く食おうぜ。エリオンも此処座りな」 そう言ってストーマは自らの隣の椅子を指差した。 「有り難うございます」 「んじゃ、頂くか」 こうして朝飯が始まった。
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