雨と小人

1/2
前へ
/13ページ
次へ

雨と小人

一人寂しく過ごす小人がいました。 小人は寂しさのあまり、泥を練り固めた自分そっくりの泥の塊を作ります。 すると、その泥の塊はまるで自分が目の前に現れたみたいに動き回り始め、しゃべりました。 自分とそっくりなので小人は自分の名前をあげました。 しばらくのあいだ小人は泥の小人と暮らします。しかし、泥の小人は言いました。 「僕は君とは違う、だからやっぱり君は一人なんだ」 その言葉を聞いた小人は、泥の小人と別れ自分の本当に大切な人を探しに出掛けました。 小人は運命をともにする相手を見つけ、子孫を残してこの世から去ってしまいました。 泥の小人は自分一人作られた存在を知っていました。 同じように泥を練り固めて、仲間を作り家を作りました。 しかし、ある時雨が泥の小人を襲いました。 慌て小人の子孫は泥の小人のもとへと向かいます。 泥の小人は半分溶け始めていて、駆けつけた小人の子孫と始めて会いました。 「君は小人ではないね」 小人の子孫の一人が言いました。 「小人はもう死んでしまったよ。僕たちはその子孫だよ」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加