終幕 泡沫となりて

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「露虫……」 小さな声で叫んで、長谷雄は立ち上がった。 露虫の姿はどこにもない。 ただ、床が水で濡れているばかりである。 「露虫──」 もう一度、長谷雄はその名を呼んだ。 呆然としているところへ、 「おおん、おおん──」 と何者かの哭く声が庭から響いてきた。 声の方を長谷雄が見やれば、庭に月光を浴びて、あの朱雀門の鬼が立っていた。 「なんということをしてくれたのだ。まったく、おまえはなんということをしてしまったのだ、長谷雄よ……」 鬼は哭きながら言った。
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