暗雲の霹靂

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  母さんが仕事に行くと家は静かだった。ぼくしか居ないから当然だ。 鞄から上履きを取り出す。 悲惨な上履き。 母さんが買った上履き。 必死に働いて買った上履き。 母さんが否定された気になって悔しかった。 悔しさが込み上げてきた。 また涙が出てきた。 高校生だね!おめでとう! 嬉しそうに言っていた母さんを思い出す。 数日前の母さんの笑顔。 自分の事のように喜んでいた母さん。 本当に嬉しそうに。 高校に行けて良かった、そう言っていた。 お金が大変なのに高校まで頑張って行かせてくれた。 胸が痛い。 頭がクラクラする。 吐きそうだ。 目がチカチカする。 涙が止まらない。 血がグルグルする。 体が震える。 泣いた。 泣いて悔しくて 物に八つ当たりした。 本を破ったり 時計を投げたり ベッドを殴ったり それら全て母さんの買ってくれたものだと分かって、自己嫌悪に押し潰されそうだった。 僕は何をしているんだろう…… 何でこんな目にあっているんだろう…… 何でこうなっちゃったんだろう…… わからない わからない わからない 何もわからない
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