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なんだかよくわからんイスタンブールを連想させるような荘厳なチャイム音が鳴ると まだ眠そうな守衛のハゲが正門の隣の守衛室から顔を覗かせた 「ようしーちゃん、今日はどうしたんね」 締まりの無い面をしたハゲの頭は朝日に照らされていつも以上によくわからん具合で輝いていた それを見ると私は少し笑みを隠し切れずに 「おはようございますパールスさん 今日は凋落学園の入試結果の発表日ですので、ブルーパーロット君と一緒に見に行こうかと」 とニッコリ笑顔で挨拶してしまった いやまあ別にいいんだけどね 今更だがしーちゃんとは私のことだ 「そうかいそうかい、しかしお坊っちゃんは多分まだ寝とるから どうだい、中に入ってお茶でも飲んで待っていくかい?」 いつものことながらこのハゲ、気が利くなあ ありがたいこっちゃ 「ありがとうございます、それじゃあここは一つ、お言葉に甘えさせていただきますわね」 「おし、そんじゃ門を開けるからちょっと待っときな」 ハゲのパールスは守衛室から出て、内側から門の鍵を開けた 「ではお邪魔いたします」 私は入る前に一礼して、DXメディーチ宅の敷地内に足を踏み入れた それにしてもいつ見てもメディーチ家の景観は飽きない 私はどんな家でもずっと住んでたり、足を踏み入れまくったりしてたら飽きがくるもんだと思っているが このメディーチ家は例外である 子供の頃から何度もここで遊んだり遊んだり遊んだりしてたが なんというか、イデアっぽい理想の美しさがこの家にはあるような気がしてならない うーむ、良い家だなあ いつ見ても芝生の中にある石畳も良い味を出してる いつ見ても噴水が綺麗だ いつ見ても良い柱だなあ コリント式かな この家が私のものになったらさぞ良いだろうなあ とか邪なことを思いつつ、私はハゲ守衛と世間話をしながらメディーチの屋敷にお邪魔した
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