十五歳

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千春は新しいクラスで美由紀という娘と仲良くしていた。 美由紀ちゃんの彼氏は井ノ原と言って、学年で一番の不良で、その筋の方とも交流があるとゆう噂だった。 本物かどうかは知らないが、中坊でロレックスを持っていた。 その筋の方に戴いたらしい…。 井ノ原はめぐむや千春と同じ小学校で、小学生の頃から先生も手を焼くやんちゃ坊主だった。 高学年にもなると、ケンカや授業妨害、学校に火をつけてボヤ騒ぎを起こしたりと、手に負えない状態だった。 井ノ原は母子家庭で、母親はホステスをしていた。 高級マンションに住んでいて、いつも身なりを綺麗にしている母親だった。 姉のお古の中学生ジャージを着て、自転車の荷台にみかんの段ボールの空き箱をくくりつけてカゴ代わりにして買い物に行くめぐむの母親とは大違いだった。 息子の不祥事で、度々学校に呼ばれていたので、めぐむは廊下を歩くその美しい母親をよく見かけた。 美しかったが、小学生のめぐむから見ても、どこか寂しそうな女性だった。 しかし井ノ原も、一人っ子な上に母親は留守がち。 きっと寂しくてやり切れなかったに違いない。
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