十五歳

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千春に電話をして来る男の子の中に、河野という男の子が居た。 河野は、同じ学年に彼女が居たが、あちらこちらの女の子にちょっかいを出していた。 そのチャラい性格から、女の子に人気はあったが、めぐむは彼の「残忍さ」すら感じる目が苦手だった。 しかも千春と仲のいい河野は、めぐむと一緒に居る時に千春が話しかけても、無愛想にその場を去る事が多かった。 恐らく河野もめぐむが苦手だったのだろう。 しかしその態度は、めぐむにしてみれば「苦手」以上のものだった。「嫌われている」としか思えなかった。 「女大好き」な彼なら、誰かれ構わず仲良くなろうとしてもおかしくないはずなのに。 しかしめぐむは河野と話をした事も無く、嫌われる理由などないはずだった。 だが、めぐむは彼のその態度でますます彼に対して苦手意識が湧き、いくら千春と仲が良くても、それ以降も、彼とは話すらしなかった。 だいたい彼女を泣かせてばかりの女たらしなんて、それだけで好きになれない。 しかし、卒業の数ヶ月前には、めぐむは千春以上に河野と仲良くなっていた。 それは、決して「良い付き合い」とは言えないものだった。
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