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そんな頃、めぐむの父親は胃ガンを発病し、胃の全てを摘出する手術をする事になった。
めぐむの父親は、普段は明るく優しいが、夫婦ゲンカが絶えず、それこそ星一徹のように食卓をひっくり返したり、母親に暴力を振るう事が度々あった。
一度は家に灯油をまいて火を放とうとしたくらいだ。
まだ小学生だっためぐむが泣いてすがり、止めたのだ。
母親はそんな時、オイオイと泣くばかりの女だった。
だからこそ、めぐむ達には父親が「母親をいじめる悪者」に感じられた。
事実はいまだにわからない。
父親が何が不満だったのか。
小さい頃は恐怖のあまり泣いたりもしていたが、小学校高学年になると、恐怖は無くなり、怒りすら湧いていた。
めぐむには9歳離れた姉が居たが、そんな父親に嫌気がさし、すでに家を出て一人暮らしをしていた。
めぐむには二歳上の兄も居て、めぐむは兄よりも先に、泣く事をやめていた。
ケンカが始まると2階に避難し、二人で遊んだ。
階下の事を忘れようとするかのように、父親の怒鳴り声が聞こえないように、二人で楽しく遊んだ。
あの時ほどお互いの存在が有り難かった時はないだろう。
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