第一話

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僕はシロ、しんちゃんのともだち。 13年前に拾われた、一匹の犬。 まっ白なボクは、ふわふわのわたあめみたいだと言われて、おいしそうだから、抱きしめられた。 あの日から、ずっと一緒。 『行ってきマスの寿司~~。』 相変わらずの言葉と一緒に、しんちゃんは家から飛び出していった。 上着をつかんだまま、口に食パンをおしこんでいるところを見ると、今日も遅刻なんだろう。 特に今年は、しんちゃんのママいわく『ジュケンセイ』というやつだからさらに忙しくなったらしい。 たしかに、ここのところのしんちゃんは、僕にかまってくれなくなった。 しかたのないことだとしても、なんだかちょっと… うん。さみしいかもしれない。 せめてこっちを見てくれないかな、と言う気持ちと、がんばれという気持ち。 その2つがまぜこぜになって、とにかく少しでもなにかしたくなって。 少しほえてみようとしたけれど、出来なかった。 なんだかとても眠たい。 最近多くなった不思議な 感覚、ゆっくりと力が抜けていくような。 あくびが出ないまどろみ。
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