第一章「日常」

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スケベは書き込みを見てイライラしてきた。確かに矢見島の事についての書き込みはあるが、肝心な島の内容は無かった。 これでは最新作の映画を話題に盛り上がるヒッピー共の宴を見ているだけだ。 ここに島に行こうという人間が居るというのに。 「全然載ってない」 悪夢様は不本意といった様子であるが、ここで諦めないのが究極の彼女だ。 ちなみに俺とオタクは諦めるのが早い。興味が全くないからこそ出来る駄目人間の基本だ。 「違う矢見島スレッド俺も探してみるよ」 「僕も探す~」 3人はそれぞれに矢見島について調べ始めた。 「矢見島ブームだねこりゃ」 スケベは皮肉を言った。 「沢山ありすぎてどれにしようか迷うね」 オタクは勘違いしている。 「あったよ!見て見て」 悪夢様は異常な程に・・・いや、どうやら発見した様だ。 「ほら、矢見島の写メが貼ってあるよ」 写メは船の上から撮ったであろう矢見島の全体像だ。ただ残念だったのは、天気だ。 「曇り・・?」 やけに空は暗く、辺りは夕方頃だろうか。雨でも降っていそうな天気だ。 「いつもこうだったりして」 「ありえるね」 見たこともない島。携帯の縦写メには収まりきれないが、パノラマ式で撮れば・・・・とにかく大きい事は解った。 「でもなんでこんな島を地図に載せてないんだろう。世界地図もあるし、大紅ノ島は毒ガスを作っていたから消してもまだわかるけれど、俺それ以外にそんな島知らないよ」 「だから今から一緒に謎を明かそうね。スケベ君」 「はぁい」 悪夢様にいい具合に乗せられてしまった。 「他に画像は無いの~?」 「はっ?死ねや。今探しよるだろうが」 そしてオタクは叩かれる。 毎回こんなパターンだ。やっぱり違うな。オタクという人間は。
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