第一章「日常」

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悪夢様は更に検索を続けた。 レスは何処まで見ても添付画像付きの投稿ばかりで、その大半が様々な場所の景色や、記念写真だった。 「全然矢見島って普通の島じゃね。」 悪夢様は期待した空想を書き消された様に項垂れた。 俺はレスを見てただの島だと思った。悪夢様が期待しすぎなだけであり「ただ日本地図に載らない島」だと思う。例え行っても少ししたら飽きる程度の島ではないか。そんな心配が頭を過る。 「何か面白ろそうな島だねー」 呑気なオタクは言った。 「はっ?今更みたいな事言うなよ馬鹿やろうか」 「面白そうだと?面白くない掲示板を三人で見るかよ」 叩く、叩く、叩きまくる。何時もオタクはそうだ。 よく「KY」という言葉が使われるが、彼は彼自体がKYだ。 悪夢様が過去にオタクの頭の中にはヒヨコが居ると言っていたが、俺も実際そうだと思う。 「あっ!これ見てみ」 悪夢様がファイルを開いていたらしく、画像が表示されていた。 それを見てみると、恐らく工場の廃墟であろう景色だ。 「おぉ~廃墟かぁ~」 「凄いね!如何にもって感じだよね」 「うぃ」 廃墟は確かにいい。そこにファンタジーを抱くか抱かないかの違いであるが、行こうと思って行ける場所ではない。 書くゆう俺自信も廃墟には行ったことが無いので是非行きたい。 「矢見島行きてぇー。マジ行きたい。俺まだ廃墟に入った事が無いから超凄そう」 「全然たいした事ないよスケベ君。悪夢行ったことがあるけど何も無いよ」 「そうなんだ」 「でも行ってみたいね」 「絶対写メりまくるぜ」 盛り上がった俺達はそれからも矢見島の事について盛り上がった。 やがてそういう話をしている内に悪夢様の門限が迫って来た。 「じゃあまたね」 「バイバイ」 「うん。じゃあまたね」 俺達が遊ぶにしても、その中心人物は悪夢様であり俺らは彼女に合わせて行動している。 書くして俺も、友達はいるけれど自身から誘う事は滅多に無い。それは自分独りでいる事が一番楽であるからだ。 悪夢様が帰った後オタクとも別れて俺は帰路に着いた。 今日こんなに矢見島について語り合い、盛り上がっても、俺の心の中では現実に押し潰されそうになるのであった。
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