Bag Voice(表)

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とは言っても、これが初めての面接ではなかったので、僕はそこまで緊張してはいなかった。 左から順に名前を呼ばれていき、僕は4番目だった。 一人終わり。二人、三人と。 あっという間に僕の番が回ってくる。 「では、次の方。名前を。」 そう言われて僕は、返事をして立ち上がる。 「私は逆十字 美咲樹(ぎゃくじゅうじ みさき)です。よろしくおねがいします。」 そういって、もう一度一礼して席に座る。 「へぇー。かわった名前しているね。」 「ええ。はい。よく言われます。」 と僕にとっては定番のやり取りをしたところで本番。 どうして我が社を志望したのですか? 自分のセールスポイントはありますか? 大学で何を学びましたか? などなど、特に自分を売り込めるような点、他の人とは違う点がない僕にとっては、答えにくいようなことばかり質問してくる。 一つあるといえば、あるんだけど。 あまり人に知られたくない、知ってほしくない事だから。 まぁ、ここだけで簡単に説明しておくと、僕は今、この身に悪魔を宿している。 文字通り、この体を悪魔に宿として提供しているのだ。
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