From 雨唄

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From 雨唄

俺がイタリアから戻ってきて1年。 イタリアで過ごした5年間で海羅を想わない日は一日だってなかった。 毎日海羅を想っていた。 俺が帰ってくるのを待っていてくれると言った海羅。 それでも他の男の腕の中にいるんじゃないかって不安もあった。 俺が「他の男と幸せになっても良いよ」なんて言ったから。 でもそんなことはなくて、今は結婚し一緒に暮らしてる。 こんなにも幸せなことはない。 「ねぇ、空?」 リビングに結婚してから飼い始めたネコの【レイン】を抱えやってきた海羅。 雨の日に拾ったから【レイン】 そのまんま。 ネーミングセンスが全くないネコ。 それでもなにげに気に入ってる。 真っ白で毛波も綺麗。 動物は飼い主に似るっていうけど、ホントにだんだん海羅に似てきた気がする。 俺には全く似ない……。 「ん?」 海羅は俺が座っているソファーの隣に腰を下ろした。 レインは海羅の膝の上でゴロゴロと喉を鳴らせて気持よさそうに目を閉じて撫でられている。
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