【9】 初めてのあかちゃん

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【9】 初めてのあかちゃん

初めてのあかちゃんに無我夢中だった。 ろくに眠らず、夜鳴きもひどかった娘。 へとへとに疲れはてて、抱っこでゆすりながら 「あんたはママを苦しめたいの?ほんとにひどい子だ」と 悪態をついた日々。 赤ん坊の気持ちなんて、全然わからない。 母親の自信なんて、みじんもない。ただ、もがくだけの日々。 あれから数年たって、娘は五歳になった。 「あのね、ママ」(もじもじ) 「なぁに」 「あたしね、ママのこと、生まれたときからすきだったの」 あの頃の私が一番聞きたかった言葉。 やっと聞けた。こっそり台所で泣いた。
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