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【3】 花火の思い出
思い出って言うか最近(先月)のことなんだけど
うちから2キロぐらい離れた所で夏祭りがあってて、
夜 窓から花火を見ていたら、庭に誰かが居た。
よく目を凝らしたら、じいちゃんがばあちゃんの手を引っ張って、
うちの庭で花火がよく見える場所まで連れてきていた。
絵に書いたような九州男児のじいちゃんは頑固で偏屈で、
孫の私にも説教ばっかだけど若い時苦労した反動か、早くボケてしまったばあちゃんに凄く優しい。(誰も居ない時は)
婆ちゃんはもう、
子供も孫も、
じいちゃんも、
周りに居る全部の人がほとんど分からなくなっている。
じいちゃんが手を繋いだら、きっとばあちゃんは知らない男の人が手を繋いできたと思ってひどく脅えるだろう。
けれど、じいちゃんはそんなもんに負けない。
二人はずっと手を繋いだまま花火を見ていた。
(多分そうしてないと婆ちゃんはすぐどっかへ行っちゃうから)
私は花火じゃなくてそれを見て、
もの凄く綺麗だと思った。
そして、ボケる前の婆ちゃんは花火が凄く好きだった事も思い出してた。
家の中に帰ってきた婆ちゃんに「花火綺麗だった?」と聞くと。
「さっきの??えらい綺麗かったばい、
花火、って言うと?」って笑ってた。
じいちゃんは私に背を向けたままシャツ一枚で寝転んでた。
なんだか、私リアル厨房だけど、
あの二人が手を繋いでいる光景は一生忘れない気がした。
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