【6】 佐賀のがばいじいちゃん

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【6】 佐賀のがばいじいちゃん

佐賀北が宇治山田商との引き分け再試合を制して、初のベスト16入りを果たした。 「いい経験をさせてもらっている。選手もいつも通りのプレーをしてくれた」(百崎監督)。 そんな底力を見せたナインには忘れられない人がいる。「佐賀のかばいばあちゃん」 ならぬ「佐賀のかばいじいちゃん」だ。 ナインによると、年は70代、名前も知らない白髪の老人で佐賀北の試合はもちろん、 練習の見学にまでやってくる「追っかけ」のような存在だったという。佐賀北の練習試合の 全スコア、ナイン全員の成績まで熟知し、1升ビンを持って「野球選手は目が大事。 目を鍛えろ」とか「バントなんて、と思うな。野球の積極的戦法じゃ」なんて調子で 声もかけてきたそうだ。 そんな“かばいすごか(とてもすごい)”じいちゃんは、チームが勝つたびに喜んでくれた。 最初は小うるさくて敬遠しがちだったナインにも、いつしか親近感が芽生えた。それこそ、 心の支えにもなっていた。ところが、佐賀北が甲子園出場を決めてから、全く姿を 見せなくなった。地元から佐賀牛、イチゴ、海産物など温かい差し入れが殺到する中、 ナインはこのことが気になって仕方ない。 じいちゃんと最後に交わした言葉は、予選決勝前の「甲子園に行ったら100万円、 用意しちゃる!」だったという。100万円という大ボラ?を吹いたせいで顔を出せなく なったのか、あるいは体調でも崩したのか・・・。ナインはこう口を揃える。 「100万円なんていらないですから、応援に来てほしい。(甲子園でも)じいちゃんの ために勝利を挙げたいんです」 (東京スポーツ 8月18日(土)販売号より)
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