週末の予定、差し上げます。

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バイトは先週辞めた。 周りは彼氏持ちばかりで合コンの予定もゼロ。 週末の予定がら空き状態のシステム手帳とにらめっこする自分の虚しい現実に、ため息が止まらない。 「アキ。新しい手帳買うたんか?」 「……何だ。瑞希か」 聞き慣れた声音に顔を上げれば、胡散臭い関西弁で喋るアイツの姿が目に留まる。 「何だはないやろ。お? その手帳、俺のと色違いやないか」 ええ。そうですよ? だって、これ。アンタと同じ物が欲しくて買ったんだもん。 ……何て言える訳も無く、意味深に笑う瑞希から目を反らした隙に、それは彼の手へと渡っていた。 「……って! 勝手に見ないでよ!」 「アキの寂しい週末の予定、俺が一日貰うたったで。時間厳守、ええな」 「は?」 言葉と同時、手帳が宙を舞う。 ――10時。駅前―― 土曜の空白は瑞希の筆跡に埋められていて……不覚にも、今度はニヤニヤが止まらなくなってしまった。
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