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「ズルい! さっきからヒロちゃんばっかり勝ってる!」
言いながら、俺の隣でテレビゲームのリモコンを握り締め、ブスくれているのは…。
さっきからゲームに負けっぱなしの、幼なじみのアイツ。
「ズルいって何だよ。じゃあ、手加減しろって?」
「そうよ」
と、新たなステージをスタートさせながらため息一つ吐く俺に。
然も当然のように答える彼女。
でも、だからと言ってタダで負けてやる程、俺もお人好しでは無い。
「じゃあ。手加減してやる代わりにさ、これでお前が勝ったらキスさせてくれる?」
「ヒロちゃんはズルい。そんな事言われたら…勝てる訳ないじゃん」
一瞬、コントローラーを持つ彼女の手が止まり。
同時に、テレビ画面に舞う大きな赤い“KO”の文字。
そして、まるでそれを催促するかのように少しだけ突き出された桜色の唇に。
「あーあ。せっかくのチャンスだったのに…」
俺はふっと笑って口付けた。
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