傷口に絆創膏

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何がラッキーアイテムよ。 買ったばかりのサンダルは足に合わず、歩く度に走る痛みに毒づく私。 と、前を歩く彼に突然手を引かれた体が、人通りの少ない路地裏へと引き寄せられた。 「その顔は、足が痛いってだけの顔じゃ無いよな」 その言葉に促され、素直な想いを紡ごうとした唇が彼の口に塞がれる。 「なぁ。心の傷に効く絆創膏って知ってるか?」 「絆、創膏?」 突然のキスに呆然としたままのオウム返し。 「そ。お前の身体中に貼ってやるよ。次会う時まで、その傷口が疼かないようにな」 その言葉に私は全てを理解するが、彼が乗る筈の電車の発車時刻までは後少し。 「電車……は?」 尋ねる私の背中を壁に押し付け、どうでもいいよと笑う彼。 同時に舌で抉じ開けられる唇から、私の中に甘い吐息が吹き込まれる。 私が足を痛めなければ、あなたは今頃電車の中。 やっぱりサンダルは、今日のラッキーアイテムだった。
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