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ミネラルウォーター

『今日の牡羊座のラッキーアイテムはミネラルウォーターです』

朝のテレビの占いでそう言っていた事を思い出した私の指は、不意に自販機のミネラルウォーターへと延びていた。
別に喉が乾いていた訳じゃないし、普段から占いなんて信じる方でもない。

ただ……予感がしただけ。

キリッと軽い音を立てて蓋を開け、一口だけ液体を口に含む。
よく冷された水がゆるりと喉元を通り過ぎ息を吐けば、同時に私の手からミネラルウォーターの冷たさだけを残してペットボトルが消えていた。

「あっ」

言って振り向いた先には、私が口を付けたばかりのそれを躊躇いも無く自分の喉に流し込むアイツの姿。

「知ってるか？ 今日の俺等のラッキーアイテム」

「……知ってるよ」

素っ気なく答える私にニコリと笑いかけてくるのは勿論、私と同じ星座のアイツ。

たまには占いを信じてみるのも悪くないかも知れない……本気でそう思えた瞬間だった。