ヒロの休日 二日目

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屋敷に合わせた英国風の庭園は屋敷を囲むように広がっており、 更にそれを良く手入れされた花壇が屋敷を囲っている。 『弘様、紅茶でございます』 「おうよ」 その広大な庭園で飲みたくもない紅茶をメイドに無理矢理行儀良く飲まされるのが、 いつものパターンだった。 『弘様。 何度も言わせて頂いておりますが、 “おうよ” などと、お行儀の悪い言葉遣いを……』 「出たよ、説教」 説教されるのも、いつものパターン。 まぁ、聞き流すけどな。 『よって、主たるもの使用人に対しても言葉遣いを……ちゃんと聞いておられますか?』 「んな事誰が言ぅか! バカヤロー!」 逃走する、俺。 これも、いつものパターン。 『……あぁ、またそんな、お行儀の悪いお言葉を。 ……言葉遣いぐらい、弘様の好きにさせたいものでございますが。 しかし、 孤児院より、この屋敷に引き取っていただき、早5年。 御主人様には、返しても返しきれぬほどの御恩がございます。 その子孫ともなれば立派になってもらわねばなりません……よって』 「よって……なんだよ?」 『この綾美、弘様の未来の為ならば鬼となりましょう!』 鬼の様な速さで追っかけてくる綾美。 「うぉ!?速ッ!」 『お待ちなさい!弘様!』 そして、 綾美に追いかけられるのも、 いつものパターンだった。 「ぬわ、来んなァー!」 『逃がしません!』 「つか、なんでスカートなのにそんなに早えーんだよ!」 『フッ、メイドたるものスカートでも速くて当然にございます』 「メイド関係なくね!?それ!」
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