ヒロの休日 二日目

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『……早く入って!』 「……おじゃま~っす」 俺は少女の案内の元、 屋敷の人間の目をかい潜りながら少女の部屋へとやって来た。 「ぬいぐるみばっかじゃん」 ベッド、ソファー、棚など部屋の至る所に大量のぬいぐる達が座っている。 ざっと数えて……20体以上ってとこだろうか。 『うん! ぬいぐるみ大好き!』 少女はそのうちの一つを抱きしめつつ笑顔を見せる。 「しかも全部犬」 『うん、犬さんも好き!』 「犬好きなの?」 『うん、かわいいよね!』 更に笑顔。 「あぁ……うん、そっすね」 ……さっき、軽くわんこに襲われた俺としては素直に頷ないよ。 トラウマだよ……わんこ。 「まぁ、わんこは置いといてだな。 何かして遊ぶか?」 忌まわしきわんこの話題から話をそらす俺。 『え~と、んー、んと。 ぬいぐるみさんで遊ぶ?』 しかし、遊び道具に忌まわしき‘わんこ’達を望む少女。 「……うぬ、わんこで?」 『だめ?』 透き通った瞳で上目遣いに見つめる少女。 「う…… いいよ」 『わーい!』 少女に見つめられて、嫌とは言えない俺であった。 ……わんこの恐ろしさというものを知らんのだろうな……この子は
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