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「礼って、何の?」
『今日初めてここに来る時、ふみなをウチまで送ってくれただろ?』
「何言ってんだ、
ふみなちゃんが商店街に自分で帰ってきたんだよ、俺は途中から気づいただけだっつの」
ふみなちゃんがついて来ているのに気づいたのは商店街からだ。
『でも、魚屋までふみなを送ったしよ、
その後もふみなと遊んでやって、プレゼントまで買ってくれてんじゃねェか』
「そりゃ、ただの成り行きだ」
委員長と会わなければプレゼントを買わなかっただろう。
『チンジャーさん』
奥さんが口を開く、
『私達のお礼は押し付けがましいのかもしれません。
貴方にとっては、なんでお礼をされるのかよくわからないでしょう。
でも、私達は感謝しているんです』
「感謝?」
『そうです。
ふみなは、ちょっと目を離すと勝手に何処かに行ってしまう子で普段から気をつけるようにしていたんですが。
今日も、気をつけていたんですけどいなくなってしまって。
内心、ふみなが帰ってくるまで、ずっと不安だったんです。
事故にでもあってないだろうか、
誘拐でもされたんじゃないかって。
きっと輝一さんも同じ気持ちだったと思います。
だから、本当にふみなが帰ってきた時には安心したんです』
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