ヒロの休日 三日目

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アトラクションの集まるエリアから少し離れているためか、 この辺りは不思議と落ち着いた空気が流れている。 その中、由佳里が口を開く。 『あの……申し訳ありません、兄さん。 なんだか取り乱してしまって』 まだ、目が少し赤いのを隠す為か、 うつむきながらそんなことを口にする 「いや正直、俺も結構ビビってたし。 由佳里が泣きそうになるのも無理もないだろ」 『……やっぱり、相変わらずなんですね』 「うん?」 『昔と変わらず優しいままです』 「そうか?」 ……いきなり言われると照れるな 『そうですよ。 嘘ついてまで気遣ってくれて』 「いやいや、マジでビビってから」 『そうだったとしても、兄さんは優しいです』 「そーなんかね?」 『そーなんですっ』 ふと、気づけば由佳里は笑顔になっていた。 「……うん。 やっぱし、笑ってないとな」 『笑ってないと、って何がです?』 首を傾げる由佳里。 「いや、なんでもねー。 そんなことより、次なんか乗ろうぜ!」 『なんなんです、教えてくださいよ?』 「それは……内緒だっ」 ちなみに、笑顔で首を傾げる由佳里に何だかドキドキしてしまったのも……内緒なのである。
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