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その後、すべてのアトラクションを回り尽くし、
俺達は休憩のため園内の湖の近くに設置されたベンチで休むことにした。
「……っと、さすがにちょっと疲れたな」
『……はい、さすがに疲れましたね』
二人、休憩しつつ湖を眺める。
『……綺麗ですね』
「だな」
夕日の光が湖の水面に反射しまばゆいオレンジ色に染まっている。
『この後はどうしますか、兄さん?』
夕日色の湖を眺めなが由香里が口を開く、
「あ?あぁ、
アトラクションは全部乗ったし、後は帰るだけなんだけど……」
なんだけど
『けど、なんですか?』
「いや、帰るだけなんだけど」
帰るだけなんだけど……肝心のプレゼントを渡してない。
『けど?』
「いや……なんでもないっす」
口下手というか、恥ずかしいというか、
つい、そんな台詞が口をついてしまう。
『それじゃあ、
そろそろ帰りましょうか?』
……しかし、いかんぞ
今回ばかりは口下手やらで済ましてはいかん、
今回は委員長が関わっているだけに、なかった事にはできない、
というより、俺の男のプライド的な物がそれを許さない。
(正直、プライドと言うか、
委員長やふみなちゃんに肝心な時に口下手の恥ずかしがり屋さんという情けないレッテルを貼られたままなのは嫌なのである……という情けない理由)
ともあれ、ここまで来ておいて 目的を果たさない訳にはいかないだろう。
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