ヒロの休日 三日目

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帰ろうかとバックを持って立ち上がる由佳里。 『行きましょう、兄さん』 由佳里が俺に背を向けた隙にプレゼントの包みをポケットから取り出す。 「……」 ……すこし包装グチャっとしちまってる鞄とかに入れてくりゃよかった。 そんな普段、気にしなようなこと気が焦る。 ……そんな些細な事を気にしてる場合じゃない。 こういう事に疎い俺でもわかるプレゼントを渡すなら今しかない。 「ゆっ、由佳里!」 『なんですか?』 振り返る由佳里。 「突然なんだけどさ……その」 ……こう、改まって由佳里と向き合うと、 由佳里の風に揺れるツインテールとか、 バックを持っている小さな手とか、 幼さの残る、優しそうな顔とか。 何か妙に意識しちまって、ただでさえ高鳴っている心臓のペースがさらに早まり、 言葉が上手く出てこない。 『兄さん?』 「と、突然なんだけどさ……本当に突然なんだけど。 ゆ、由佳里はさ……俺の監視役って訳で俺の家に来てくれてる訳じゃん?」 『本当に突然ですね』 「す、すまん突然で」 『いえ……続けてください』 「お、おう その、だな。 由佳里は本当はアメリカの高校に行くはずだったのに、俺の成績が下がったせいで……日本に戻ってきてさ。 しかも、中学から上がってきたばっかりなのに、 毎日、飯とか作ってくれるし、洗濯とか、掃除とか……あと、弁当とかも作ってくれてさ。 毎日毎日、任せっぱなしで申し訳ないて思う」
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