いやさ、楽譜とか古代文字にしか見えないっす。

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『お待たせしました、兄さん』 と、依然として連休明け特有の愚痴が頭に思い浮かぶ中、 しばらくして準備を終えた由佳里が玄関から出てくる。 「おう、終わったか?」 由佳理の声に玄関の方に振り返り見る、 『ど、どうですか?』 こちらへ歩み寄る由佳里のツインテールと共に揺れる二つの青いリボン。 そのリボンの端っこには白の犬マークがプリントされている。 「いやその……似合ってると……思う」 昨日何だかんだで由佳里に渡す事のできたプレゼントのリボンである。 『本当ですか?』 上目遣いに俺の顔を表情を伺う由佳里。 そんな由佳里の顔から目を背けつつ、 「おうよ……かわいいんじゃね」 由佳理から視線を反らしつつ感想を口にする。 『そ、そうですか? ……えへへ』 ちらりと由佳里を見ると、 由佳里はリボンに優しく触れながら頬を少し赤く染め照れるている。 「……」 『それじゃあ行きましょう、兄さん』 「……」 『兄さん?』 「へ、何?」 『学校に行きますよ?』 「あ、あぁ……そうだな学校な」 『どうしたんですかボーっとして』 「い、イヤー、 なんつーか連休明けは何かだるいなって」 『もぉ、何言ってるんですか、いつまでも連休気分では困ります。 ちゃんと切り替えてください』 そんなふうに怒りつつも、 どことなく由佳里は嬉しそう。 ……どうやら気に入ってくれたみたいだ。 「へいへい、わーってますよ」 そんな言葉を交わし登校する俺たちなのであった。 ……ちなみに普段、由佳里が見せないような照れた笑みに、 一瞬、不覚にもドキッとしちまった俺なのであった。
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