いやさ、楽譜とか古代文字にしか見えないっす。

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…… 教室前に来た俺はドアの隙間から教室内を確認する。 山田は……いた。 自席にて何やらプリントの整理をしている、 恐らく、委員会関係のプリントか何かだろう。 『……あれ、村瀬くん?』 と、ドア前でしゃがみながら教室内を覗いているとある人物に話しかけられる。 「はいはい、わかったわかった、わかったから後でな」 話しかけてきたのは三河だ 『……えと、何をやってるの?』 が、必死で作戦を練る俺には悪いが三河の相手をする余裕などない。 「……はいはい、わかったわかった、わかったから後でな」 量から見ればホームルーム開始ギリギリまでプリントの整理をするつもりと見て良いだろう。 『……村瀬くん?』 「……はいはい、わかったわかった、わかったから後でな」 ……となれば、山田はホームルームまで席から動かないと考えていいな。 『……む、村瀬くーん』 「……はいはい、わかったわかった、わかったから後でな」 ……目標が動かないならやりやすい、 『……今日はお昼休み一緒にお昼食べよう』 「……はいはい、わかったわかった、わかったから後でな」 ……ホームルームの始まる8時35分までの5分でケリをつける。 『ほんと?』 「……おぉよ、ホントホント、ホントだから後でな」 その時、何が‘ほんと’なのかはわからなかったが、とりあえず肯定した。 『うん!』 今は、そんな事どうでもいいんだ……例え何を失うことになろうと構わない。 ……だって、もうあのオラのにやにやは二度と帰っては来ないのだから。 作戦は完璧、 ……見てろよ、山田ァ。
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