いやさ、楽譜とか古代文字にしか見えないっす。

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…… 反射的に山田は俺に向かい手を伸ばす、 『ぐ、はなさんか!』 眼鏡に手をかけた後、 「フ、遅いッ!」 山田の反撃を避けるべく、後ろへと跳びはねると共に眼鏡を山田の顔から引き抜く。 そして、俺は自分の手の中を確認する。 ……眼鏡、ブルーフレームの眼鏡! 「……フ、フハハハハハハハハ!」 間違いない! 俺は勝った! 「ハハハハハ! やったぞ!軍曹!見たまえ我が手中に収まる勝利の証をッ! このブルーフレーム眼鏡をッ!」 振り返り我が同胞に勝利の証を掲げて見せる。 『た、隊長、あれを!』 勝利に感嘆する表情を浮かべるものと思っていた軍曹の表情が曇り歪み、 そして、その指を震わせ俺の背後を指した。 「フ、どうした? 愚かな山田が絶望に歪んだ表情でもしているのか?」 振り返る俺、 「……なッ!」 俺の視界に入ったのは 『甘いな、ヒロよ』 「ばッ、馬鹿なッ!」 『どうした、勝利の証とやらを掴んだのだろう? もっと喜んだらどうだ?』 「何故だ、眼鏡だと!」 絶望に歪むどころか、 笑顔で悠然と眼鏡の中央のフレームを人差し指指で抑えている山田がいた。
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