246人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな、何故、
「何故だ!
め、眼鏡は確かに我が手中に……」
眼鏡は確かに俺の手中にあるんだ……確かにある、紛ごうことなきブルーフレームの眼鏡がッ!
『ヒロ、お前は勘違いをしている』
「……何?」
『それがヒロの敗因だ』
「この俺が、俺が何を勘違いしたと言うんだッ!」
『……私達、眼鏡は眼鏡無しでは生きてゆけぬ』
「そんな事は知っているッ!
だからこそ俺は眼鏡を狙ったのだ!」
『フ、わからんか?
必要だからこそ、眼鏡なしでは生きてゆけぬからこそ、
……予備と言う物が必要だろう?』
「……な」
俺の全身に衝撃が走る。
……ま、まさか
「……スペア……だと?」
衝撃の事実に俺は絶望で今にも膝から崩れ落ちそうになる。
『そうだ、よく見ろ。
このフレームの色を』
「……フレーム」
山田の眼鏡を注視する。
「ッ!
……レッド……フレームだとッ……!」
そこに空白などは存在せず、
山田の顔には、燦然と輝くサンレッドフレームの眼鏡がかかっていた。
最初のコメントを投稿しよう!