いやさ、楽譜とか古代文字にしか見えないっす。

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……マジか、スペアとか、マジか。 「……な、な なんてこっちゃぁぁうあアァァ!」 ついに耐え切れずガクッと膝から崩れる俺。 『まったく、お前は詰めが甘い。 そもそも眼鏡を狙う意味が分からん。 というか、その情熱を別の事に使おうと思わんのか』 呆れたように山田は言う。 「……」 『高校二年生にもなると言うのに、お前はまったく成長しない。 この先やっていけるか心配でならんよ』 まさに言いたい放題。 「……だ」 『ぬ?』 「……まだだ! まだ、負けてなどいなァい!」 全身の関節に再び力をこめ立ち上がり、 「喰らえェ!」 己が手から“何か”を放つ。 ーヒュッー 瞬時に俺の手から放たれる“何か” 『……ぬッ!』 ーダンッー 山田は間一髪でソレを避ける 『な……う、上履き?』 窓に跳ね返されたソレは上履き。 それが一瞬で山田の頭目掛け飛んだのだ。 うちの学校の窓が強化ガラスでなければ恐らくは割れていたであろう程の威力。 『危ないではないか!』 「黙れ、 最終手段だ、お前の眼鏡を叩き割る!』 もはや作戦のカケラもない。 『え?は、待たんか!』 「うるせ、しね! オラのにやにやを返せ!」 『クッ!』 山田は、いくつもの机と机の間を器用に駆け抜け黒板側のドアから脱出を計る。 「まてぃ!」 俺は机を飛び越え黒板前に滑り込みドアへと向かう山田の眼鏡を狙い撃つ! 後頭部に当てれば自然と眼鏡は落ち、逃げ惑う山田自ら足で粉砕される…… 弾は一発、外さないっ! 「あったっれェ~!」 -ヒュッ- 高速でスピンをしながら山田の後頭部目掛け真っすぐと飛ぶ上履き。 『ぬぅッ』 ……今度こそ勝った。 そう俺は、再び勝利を確信するのだった。
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