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私が飲み込むのを見計らい兄さんは再び口を開く。
『もう一度いうぜ?
何かあったろ、絶対にだ』
「何もありません」
……いくら何でも、これは執拗と言わざるを得ない。
やや低めのトーンで私は言う、あえて言葉遣いも冷たく。
『何もなくねぇからいってんだっての』
対し兄さんの声のトーンと音量は高まり、そして語調が荒れる。
「一体なんなんですか、何かあったなんて曖昧な理由で」
『曖昧じゃねぇ』
「では、何か確証があるんですね。
ないとは言わせませんよ」
『ある!』
依然として兄さんは自らの主張を曲げようとしない、
「では見せてもらいましょう」
ただ朝食をとっていただけなのに、何が証明できるというのか。
『証拠はなぁ!』
腕を振り上げる兄さん。
「証拠は?」
振り上げ腕を私の方へと兄さんは振り下ろし……
『その肉ジャガだァ!』
私の肉ジャガを指さす。
「……はい?」
何だろう……冗談でも言っているのだろうか。
何を言いたいのか理解できない。
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